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マクドナルドとアニマルウェルフェア

さて、前回まで少し硬いスタイルが続いたので、小休止。

とはいえ、同じラインのトピックです。

マクドナルド社が、昨年9月、アメリカとカナダの店舗で、10年以内にすべての卵をケージフリー(ケージに入れない鶏からの卵)にする、と発表しています。


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写真 Slate (以下リンク)より



この「ケージフリー」や「フリーレンジ」の定義に問題がありそれほど改善は見込めないとする声もありますが、生まれてから一度も太陽を見ないのが主流のスタイルであるケージスタイルと比べれば(怖いことです)、少しでも前進。

マクドナルドは実は、イギリスでも Freedom Food 認証の豚肉のみを導入。

こちらは RSPCA が主導する、かなり高い基準のアニマルウェルフェアに沿った豚の飼育が義務付けられたもの。


マクドナルドと言えば、肉の大量消費の最大の原因のひとつ。

本来ならそれなりにコストのかかっていた肉というものを、気軽に、安く食べられるようにした、ファストフードチェーンの代表です。

ファストフードの拡大に伴い、畜産の工業化が加速、今では工業畜産(工場のように機械を多用して大量の家畜を飼うスタイルで、個体密度が非常に高く、多くの場合は密閉された空間で飼育)が主流。

つまり、肉の需要に追いつくためには、大量の家畜が必要で、のんびりと草や虫を食べさせている暇はない、ということでした。

外部経済の内部化(注)ということが言われて久しいのですが、本来、肉というものはそんなに安く食べられるものではなかった、ということです。

いや、一度も太陽の光を見たことのない鶏の肉でも、安い肉が食べられることはいいことだ、という人もいると思います。

密室で過密な状態にあって病気になりやすいため、抗生物質漬けになっていても(そしてそれを食べて自分が病気になる可能性があるとしても)、それでも安い肉がいい、という人もいるでしょう。

でも、市場経済の利点(環境にとって)というのは、多くの消費者が求めれば、それを企業が提供してくるということ。

下の写真は、イギリスのスーパーにあったアニマルウェルフェア食肉 ↓


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家畜のアニマルウェルフェア、ここ4-5年で、加速しているな、というのが私の印象です。

そしてこれは、企業の社会的責任(CSR)やエシカル消費の波と合致しした一連の大きな流れの一部ですが、そのこと自体、人類の(倫理やモラル上の)進化の流れに、アニマルウェルフェアは入っているということの証ではないかと思います。



http://www.slate.com/articles/health_and_science/science/2016/08/animal_activists_crunched_the_numbers_to_learn_that_the_creature_most_in.html

https://www.washingtonpost.com/news/animalia/wp/2016/08/06/how-eggs-became-a-victory-for-the-animal-welfare-movement-if-not-necessarily-for-hens/

http://www.forbes.com/sites/phillempert/2016/05/08/shift-to-cage-free-eggs-is-likely-to-disappoint/2/#765976786438
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生物保護(アニマルウェルフェア+)

さて、環境倫理の主な主張、3つめのカテゴリー。

生物保護、という考え方です。

ここにはいろいろな考え方が入りますが、さらに大きく分けると、「個体主義」と「全体主義」というのに分かれます。

個体主義の中には、例えば以下のような考え方が入ります。

① ピーター・シンガーの「動物の解放」にあるように、有感動物に人間に適用するのと同じ原則で倫理的配慮をすること

② トム・リーガンの「動物の権利」にあるように、有感かつその他の条件を満たす動物には生きる権利があり人間にはそれを尊重する義務があるというもの(この場合の「権利」は道徳的な意味であって、法律上の権利とはまた別)

③ アルバート・シュヴァイツァーが主張するように「生命」は一つ一つみな尊重すべき、というもの(進化の目的はそれぞれの種で別の戦略を持つ)


全体主義(ホーリズム)には、以下のようなものがあります。

④ アルド・レオポルドの「土地倫理」にあるように、人間は地球の征服者ではなく一構成員であり仲間の構成員を尊重すべきというもの



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これから少しそれぞれについて書いて行きたいと思いますが、現在、特に日本では「アニマルウェルフェア」と「アニマルライツ」の混同が根深いようです。

この二つはまったく別のもの。

そして、「動物が好き」な人だけがそれ(人間が動物を扱う時の考え方や方法)について考えればいいのだ、というような風潮もあります。

そうではない、のがアニマルウェルフェアだと私は解釈しています。

また、「じゃあお肉を食べてはいけないというのですか?」という心配も、よくされます。

必ずしもそうではないのが、アニマルウェルフェアの考え方です。

私が思うのは、人間と動物はまったく別、ということにしておいた方がいろいろなことがすっきりする(実際そうかはわかりませんが)、だからそのパンドラの箱を開けたくない、ということなのではないかと推測します。

もちろん、自分の種を残そうとする、自分の属する種に有利になるように行動するのも、生物の性質です。

ただ、進化論を受け入れているならば、人間だけがこの地球で特別扱いをされるのが自然の摂理ではない、ということは言えると思います。

アニマルウェルフェアが提唱しているのは、そういうことであり、”かわいそう”論とは全く異なるものです。




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